黒絢のアヴァンドナー

ようこそ、かつて地球と呼ばれた荒野へ


 ただ、灰色の荒野が続いている。
 かつて都市と呼ばれていた場所、そして今や砕かれ、傾き、空虚な廃墟と化した場所。
 今そこに、斜塔と呼ぶには些か無骨なビルディングの屋上に、一人の少女が立っている。
 しかし、少女とは言うものの、その姿はどこか歪だ。
 遠くを見据え、細めた眼。そこには何かを待つような、待ち構えるような、強い意志が垣間見える。
 払い下げの軍服を改造したのだろうか、手製のミリタリーゴシックとでも言うべき衣装をまとい、右手には無造作に、抜身のカタナを携えている。
 鈍く光を反射する、黒の刃。刻まれた銘は「黒絢」。
 そして少女の腰より下、分厚い布地のスカートから覗くのは、鋼の脚。
 それも人のそれではない。通常とは逆向きの関節構造――否、それは鳥類の脚を模した脚部であった。
 ぱしゅん。
 少女が姿勢を変える。左足を半歩引き、背後を振り返る。脚部のシリンダーが、微かに音をたてた。
 振り返った先には、長大な機関砲を携えた少女が一人。年の頃は似たようなものだろうか。未だあどけなさの残る、しかしこの荒野によく似合う、何かの決意を固めた表情。
 カタナの少女と、機関砲の少女。
 二人は並び、立ち、遥か荒野の先を見据える。そうして、やがて――数秒の後。
「来たぞ、同業(アヴァンドナー)が」
 しかして、物語は始まる。
 これは、見捨てられた星、かつて地球と呼ばれた場所に今も生きる者達の物語。
 最前線に取り残された、造られた少女達の、生きるための戦いを描く物語である。



黒絢のアヴァンドナーとは


 このゲームの舞台は、かつて地球と呼ばれ、今や灰色の荒野と化した世界です。
 企業戦争の爪痕が残るこの大地、大半の人類は衛星軌道上、境界面航宙都市"ダグザ"へと移住した後の残り火のような世界。
 けれど、ここには今も生きる者達がいます。
 企業戦争の主力として用いられ、その管理が放棄された後も製造され続ける生体兵器。
 Airget-Lamhと呼ばれていた時代はとうの昔。
 今や「アヴァンドナー」と呼ばれる、少女達が。
 
 この物語は、戦うことしか出来ない、兵器として造られた少女達が
 生き抜く為の物語。

 一瞬を、その次の一瞬を
 あなたと生きるために